「薄毛を改善したいけど、AGA治療薬を飲むと太るって本当?」
AGA治療を始めようと考えている方、あるいはすでに治療中の方で、このような副作用についての噂を聞いたことはありませんか?
効果が期待できる一方で、「体重が増えるかもしれない」という不安があっては、治療にも専念できませんよね。
結論から言うと、AGA治療薬の副作用で直接的に体脂肪が増えて「太る」という医学的根拠は極めて限定的です。 しかし、一部の薬の影響で「むくみ」が生じ、それが体重増加と結びついているようです。
この記事では、なぜ「AGA治療で太る」という噂が広まっているのか、その真相を調査していきます。代表的な治療薬である「フィナステリド」と「ミノキシジル」の作用の違いから、体重増加を懸念するあなたの不安を解消していきたいと思います。
この記事を読めば、副作用について正しく理解でき、安心してAGA治療に取り組むことができるでしょう。
まず最も重要な点として、AGA治療に用いられる主要な治療薬「フィナステリド(プロペシアなど)」や「デュタステリド(ザガーロなど)」の臨床試験データや添付文書において、「体重増加」は主な副作用として記載されていません。
国内で承認されているフィナステリドの臨床試験では、4%程度の副作用が報告されていますが、その内訳は性欲減退が1.1%、勃起機能不全が0.7%など、性機能に関するものが中心です。
もしAGA治療薬が多くの人で体重増加を引き起こすのであれば、当然、主要な副作用として明記されるはずです。しかし、現状そうなっていないということは、AGA治療と体重増加の直接的な因果関係は確認されていない、と考えるのが妥当です。
では、なぜ「AGA治療で太る」という情報が広まっているのでしょうか。その最大の理由は、もう一つの代表的な治療薬「ミノキシジル」の副作用である「むくみ(浮腫)」が関係しています。
ミノキシジルはもともと、高血圧の治療薬(降圧剤)として開発された成分です。血管を拡張させて血圧を下げる効果があり、その作用が頭皮の血流を改善し、発毛を促進することからAGA治療にも応用されるようになりました。
この「血管拡張作用」がポイントです。
この余分な水分が「むくみ」の正体です。むくみによって体内の水分量が増えるため、体重計の数値が増えることがあります。これが、「ミノキシジルを飲んだら太った」と感じる主な原因です。
これは体脂肪が増えたわけではなく、一時的に水分量が増えている状態です。そのため、厳密には「太った」のではなく「むくんだ」状態と言えます。
一方で、フィナステリドは男性ホルモンに作用する薬です。
「男性ホルモンが減ると、女性ホルモンが優位になって太りやすくなるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、これも正確ではありません。
フィナステリドは、男性ホルモンである「テストステロン」を、薄毛の原因となるより強力な男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換する「5αリダクターゼ」という酵素を阻害する薬です。
つまり、テストステロン自体を大幅に減らす薬ではないのです。そのため、フィナステリドの服用によってホルモンバランスが劇的に変化し、体脂肪が増加して太る、という可能性は極めて低いと考えられています。
「太る」という副作用の心配は少ない一方で、AGA治療には知っておくべき他の副作用も存在します。これらの副作用の発生頻度は決して高くありませんが、ゼロではありません。万が一の際に慌てないよう、正しく理解しておくことが重要です。
厚生労働省のデータによれば、ミノキシジルの副作用発生率は8.82%と報告されています。
これらの副作用は、いずれも発生頻度は低いものです。しかし、体に異変を感じた場合は、自己判断で服用を中止したりせず、必ず処方を受けた医師に相談してください。
AGA治療中に「太ったかも?」と感じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。慌てずに以下のステップで確認・対処していきましょう。
まずは、体重増加の原因が「むくみ」なのか、それとも「脂肪」なのかを見極めましょう。
朝と夜で体重が1kg以上変動する場合や、夕方になると靴がきつくなる場合は「むくみ」の可能性が高いです。
すねや足の甲を指で5秒ほど強く押し、離したときに跡がしばらく残るようであれば、むくんでいる証拠です。
もし、これらの特徴がなく、お腹周りの脂肪がつまめるようになったなど、明らかに体脂肪が増えている場合は、AGA治療とは別に、食生活や運動習慣など、ライフスタイルの変化が原因である可能性を考えましょう。
ミノキシジルによるむくみは、生活習慣の改善によって軽減できる場合があります。
セルフケアで改善が見られない場合や、むくみが日常生活に支障をきたすほど強い場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。
医師の判断により、以下のような対策が取られることがあります。
自己判断で薬の量を調整したり、服用を中止したりするのは絶対にやめてください。治療効果が失われるだけでなく、思わぬ体調不良を招くリスクがあります。
最も重要なことは、不安や異変を感じたら、すぐに専門のクリニックの医師に相談することです。
AGA治療は、専門家の管理下で進めてこそ、安全性と効果が両立できます。インターネットの情報や個人の体験談だけで判断するのは非常に危険です。
信頼できる医師は、あなたの体質や症状に合わせて、最適な治療プランを提案してくれます。副作用への不安も、専門家に相談することで、そのほとんどが解消されるはずです。
今回は、「AGA治療の副作用で太る」という噂の真相について解説しました。
AGA治療は、薄毛に悩む多くの方にとって、非常に有効な解決策となり得ます。副作用の可能性はゼロではありませんが、その内容を正しく理解し、専門家である医師と協力して治療を進めれば、過度に恐れる必要はありません。
この記事が、あなたのAGA治療に対する不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。正しい知識を身につけ、自信を持って薄毛改善への一歩を踏み出しましょう。
免責事項:
この記事は、AGA治療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的アドバイスを代替するものではありません。治療法や薬の選択、副作用などについては、必ず医師に相談し、その指示に従ってください。記載されている情報(料金、サービス内容など)は、記事作成時点(2025年5月)のものであり、変更される可能性があります。最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。